ざっくり言うと
- 確率の世界では有名な「ド・メレのふたつのサイコロ問題」
- 1個のサイコロを4回投げて少なくとも1回は6の目を出せるかどうかの賭けでは大勝ち
- 2個のサイコロを24回投げたて少なくとも1回は6のゾロ目を出せるかどうかの賭けでは大負け
- なぜそのような結果になるのかの解説
シュヴァリエ・ド・メレ(1607-1684)の名で広く知られている賭博師アントワーヌ・ゴンボーは、1個のサイコロを4回投げて少なくとも1回は6の目を出せるかどうかの賭けを行い勝ち続けていましたが、このルールでは賭けに乗ってくれる相手がいなくなってしまいました。
そこで、メレは賭けのルールを工夫して、今度は2個のサイコロを24回投げたて少なくとも1回は6のゾロ目を出せるかどうかの賭けを始めます。
しかし、この新しいルールではメレは勝てなくなってしまい、また、その理由も分からなかったため、確率論の基礎を築いた大数学者 ブレイズ・パスカル(1623-1662)に相談しました。
ここは推測の域を出ませんが、メレは、最初の賭けでは一回投げた時に6の目が出る確率は6分の1なので、4回投げたら6分の1掛ける4で3分の2の割合で勝てる。そして、新しいルールでも、(6、6)が出る確率は36分の1なので、24回投げれば最初の賭けと同じ3分の2の割合で勝てると考えたのではないでしょうか。
◆パスカルの答え
パスカルは、メレが勝てなくなったのは当然だと指摘します。
この計算は、出る確率ではなく出ない確率から計算しなければはいけないと。
最初の賭でメレが勝つ確率は、1回投げて6が出ない確率は5/6なので、4回とも6が出ない確率は(5/6)⁴。
従って、勝つ確率は 1−(5/6)⁴ = 0.517… > 1/2 。
一方、後のゲームでメレが勝つ確率は、1−(35/36)²⁴ = 0.491…≺≺ 1/2。
ふたつのゲームの勝つ確率は、僅差ですが2分の1より大きいものと小さいものになっており、それが結果的にはメレとって天と地の差が出てしまったという話です。
◆さいごに
ふたつのサイコロのゲームでも、もしメレがサイコロを振る回数を24回ではなく25回にしていれば、1-(35/36)²⁵=0.506 … > 1/2となり、メレは賭けに勝っていたかも知れなません。
なぜ出る確率ではなく出ない確率から計算するのか、詳しい説明はこちら。