ざっくり言うと
- 違法なギャンブルでの借金は、返済義務がない
- ただし、一度支払ってしまったお金は取り戻せない
- ギャンブルによる借金であっても、自己破産でチャラにできることも
今回は、できるだけ関わりたくないギャンブルによる借金の話。
ギャンブルの借金は、原因となったギャンブルの種類によって、返済義務があるものとないものに分けられます。
<返済義務あり>合法なギャンブルでできた借金
競馬、ボートレース、競輪、オートレース、宝くじなどの国が認める合法なギャンブルでの借金は、当然のことながらチャラにすることはできません。
また、パチンコは遊技でギャンブルではないとされていますが、これも合法なものです。
<返済義務なし>違法なギャンブルでできた借金
闇カジノ、闇パチスロ、賭け将棋、賭けポーカー、賭けゴルフなどの違法なギャンブルでの借金には、返済義務がありません。
「公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。」(民法90条)
違法なギャンブルは、公序良俗に反するため、勝っても負けても法的に無効です。
口約束だけでなく、借用書があったとしても返済義務はありません。
◆ただし、一度支払ってしまったお金は取り戻せない
民法には、不法原因給付が定められており、違法なギャンブルの負けであっても、一度支払ってしまうと法的に返還を求めることはできません。
お互いに違法なギャンブルと分かった上でやったことなので、一度支払ってしまったお金を取り戻すことはできず、法律は法を破った人の味方になってくれることはありません。
「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない。ただし、不法な原因が受益者についてのみ存したときは、この限りでない。」(民法708条:不法原因給付)
ただし、闇カジノで消費者金融から借りたお金を擦ってしまった場合、消費者金融側は貸したお金がどんなことに使われるかはわからないことから、そこに違法性はなく不法原因給付には該当しません。
◆合法の借金であっても10年で時効
借金の理由を問わず、一定の条件を満たせば最終返済から10年で消滅時効が成立します。
<消滅時効成立の条件>
・最終返済から10年が経過している
・時効の更新(リセット)が起こっていない
・消滅時効の援用手続きをしている
※2020年4月1日以降の借入は、以下の早い方が適用されます(改正民法第166条1項)。
①権利を行使することができると知ったときから5年間行使しないとき
②権利を行使することができるときから10年間行使しないとき
※貸した人から法的な手続きがなされると時効はリセットされます。一方で、請求書や口頭による請求では時効はリセットされませんが、その時点から6ヵ月間、時効の進行が止まります。また、借りた人が途中で1円でも返済したり、「返済を待ってほしい」と伝えた場合、時効はリセットされます。
※消滅時効の援用手続きとは、時効が成立したことを貸した人に伝えることです。
◆自己破産したらギャンブルによる借金もチャラにできる?
ギャンブルによる借金は、免責不許可事由に該当するため、原則として、自己破産が認められたとしても借金がチャラになる免責は認められません。その場合、その他の借金が免責されたとしても、ギャンブルによる借金は残ることになります。
ただし、免責不許可事由であっても裁判所が考慮して免責が妥当と判断すれば、裁量免責としてギャンブルによる借金であっても免責が認められます。
実際には、ギャンブルによる浪費がよほどひどかったり、本人に反省の色が見えないなどの悪質なケース以外は、裁量免責が認められることが多いようです。
ギャンブルが原因でも自己破産はできる!? 自己破産手続きのメリットとデメリット
こちらの記事では、ギャンブルで自己破産した49人のアンケート結果が紹介されています。
また、自己破産までいかなくても、ギャンブルによる借金であったとしても、債務整理(任意整理、個人再生など)で返済額を減らしたり、全額免責とすることも可能です。
◆さいごに
闇カジノの摘発を伝える記事では、そのほとんどに「暴力団の資金源」の言葉がくっついています。言わずもがなですが、闇カジノや闇スロには、背後に怖い人が絡んでいると考えるべきです。
にわかの知識で、借金を踏み倒そうとすれば、身の安全は保障できません。
ギャンブルによる借金で困ったら、まずは弁護士さんに相談しましょう。