2024年04月20日

ラスベガスの出禁リスト「ブラックブック」、重犯罪以外も掲載対象に

小ネタ
ラスベガスの出禁リスト「ブラックブック」、重犯罪以外も掲載対象に

ざっくり言うと

  • ネバダ州のブラックブックは、マフィア一掃を目的に導入された
  • 現在ではイカサマ師やチップ泥棒などの重犯罪以外も掲載対象に
  • ネバダ州のブラックブックには、現在、37人の名前が掲載されている

2024年4月18日、ネバダ・ゲーミング・コミッションは、5人のメンバーからなる公聴会で、ニール・アーメッド・ハーンをネバダ州のいわゆるブラックブックに追加することを全会一致で承認しました。

ネバダ州賭博管理委員会によると、ブラックブックは、1960年以来、重罪、不道徳な犯罪、賭博法違反などの前科、カジノとの利害関係の非公表、脱税、あるいは捜査当局が定義する悪名高く不名誉な評判を持ち、カジノで不正行為に関与した人物のリストとされています。

ブラックブックに名前が掲載されると、州内のカジノへの入場が永久に禁止され、新たに軽犯罪の刑事責任を問われる可能性があります。

現在、ネバダ州のブラックブックには37人の名前が記されており、一度、ブラックブックに名前が掲載されると一生消されることはありません。

ネバダ州のブラックブックは、マフィアを一掃することを目的に導入され、長年にわたって軽微な犯罪者は掲載せず、意図的に小規模なものに抑えられてきました。初期のリストには、ジョン・ルイス・バタリア、マイケル・コッポラ、ルイス・トム・ドラグナ、サム・ジャンカーナ、トニー・アリ・スピロトロなど、悪名高きマフィアの面々が名を連ねています。

しかしながら、時代が経つにつれて掲載基準は変化し、現在ではイカサマ師やチップ泥棒などの重犯罪以外も掲載の対象となりました。

 

 

◆36人目:カジノの盲点を突くイカサマ師ショーン・ジョセフ・ベンワード

2023年12月、自称マジシャンでイリュージョニストのショーン・ジョセフ・ベンワードは、36人目のブラックブック掲載者となりました。ベンワードは、複数の州でルーレットの不正行為で有罪判決を受け、ネバダ州の17のカジノから出入り禁止処分となっていました。

ベンワードのイカサマの手口は、球がホイールに投げ込まれディーラーが「ノーモアベット」のコールをする直前に口頭で賭ける数字をディーラーに伝えます。球が賭けた数字ではないところに入ると、ベンワードはディーラーが番号を聞き間違えて違う数字にチップを置いたと主張し、共犯者がその話を裏付け、ディーラーがベンワードの主張に従わざるを得ない状況を作り上げます。

このイカサマは、カジノの盲点を突いた手口で、カジノではすべてのプレイが録画されており、パスト・ポスティング(後賭け)など疑いがある場合、録画された映像で検証がなされます。しかしながら、音声まで録音しているケースはまれで、ディーラーが数字を聞き間違えたとするベンワードの主張を覆すことはできません。ベンワードは、カジノを転々としながら、何度もこの手口を試み、数千ドルを騙し取ったとされています。

関連記事:読書感想『カジノのイカサマ師たち』

 

 

◆37人目:チップ泥棒のニール・アーメッド・ハーン

2024年4月18日、ニール・アーメッド・ハーンは、ラスベガスの15のカジノで客やディーラーのチェックラックから数千ドル相当のカジノチップを盗んだとして、37人目のブラックブック掲載者となりました。

2018年1月、ハーンは、アリアのブラックジャックテーブルでチェックラックから一握りのチップを奪い取り、ディーラーと数人のプレイヤーが唖然とする中、その場を立ち去る様子が撮影され、窃盗の罪で有罪判決を受けました。結果、ネバダ州の全てのカジノから出入り禁止処分となりました。

委員会では、チップを盗んだ罪がブラックブックに登録するほど重いものなのかどうか疑問が呈されましたが、ジョン・ミケーラ上級副検事総長は、ハーンはブラックブックに載るための3つの要件(重罪の前科がある、道徳に反する犯罪の前科がある、カジノへの出入りを禁止する司法命令がある)を満たしているとして、ブラックブックへの掲載が決まりました。また、要件に1つでも当てはまれば、リスト入りは十分可能との見解も示されました。