
ざっくり言うと
- 神奈川県警は、オンラインカジノの決済代行業者を摘発
- 客からの入金は、2023年6月~24年7月の約1年間に約900億円
- うち、客への支払いなどを除いた約400億円がカジノ運営側へ
2025年2月4日、神奈川県警は、海外のオンラインカジノの賭け金を管理する複数の口座に移して資金洗浄したとして、東京都文京区在住の吉原容疑者、吉井容疑者、高橋容疑者の3人を逮捕しました。
逮捕容疑は、2024年6月17日~7月10日、賭博で得た資金など計約42億円を3人が管理する口座に移動し、犯罪収益(オンラインカジノの賭け金)を隠した組織犯罪処罰法違反(犯罪収益隠匿)。
神奈川県警によると、吉原容疑者らは、オンラインカジノの利用客と賭け金などのやり取りを行う決済代行業者で、管理する法人名義などのおよそ500の口座を使い、資金の移動を繰り返していた。賭け金などの資金は、海外に拠点を置く日本語表記の6つのオンラインカジノに流れており、2023年6月から2024年7月までの間に約900億円を売り上げていたとのことです。
また、吉原容疑者らは、2023年6月~24年7月の約1年間に、客から入金があった約900億円のうち、客への支払いなどを除いた約400億円を、カジノ運営側への送金のほか、不動産や高級車、暗号資産の購入にあてたとみられるという。この間、決算代行の手数料として、約47億円の利益を得ていたとのことです。神奈川県警は、口座を凍結し、約8億3,000万円を没収する方針。
◆見え隠れするオンラインカジノ闇
既視感のあるニュースですが、昨年9月の大阪の事件とは別の事件です。
客からの入金約900億円のうち、約400億円がカジノ事業者の懐に入ったのであれば、カジノの利益率は驚愕の44.4%。
一方で、まっとうな運営が行われているネバダ州カジノの利益率(ホールド率)は15%程度です。
<ネバダ州カジノのホールド率推移>(データ出典:ネバダ州ゲーミング管理委員会)
※2023年は9月までの平均値
ホールド率とは、ざっくりいうと客が購入したチップをカジノが取り戻した比率のことで、下記の数式であらわされます。
ホールド率=(収益)/(ドロップ)=(ゲームでのカジノ側の儲けの総額)/(Buy-In:客が持ち出したお金の総額)
これだけではよくわからないので補足します。
①ある客がブラックジャックのテーブルにきて、まず100万円分のチップを購入しました。
②最初に買った100万円のチップで4時間プレイしました。一時は120万円まで増えたり、50万円まで減ったりしましたが、プレイ中にチップの追加購入や換金はありませんでした。
③4時間プレイした結果、客は20万円負けて、残りの80万円を持ってテーブルを離れました。
④上記をカジノ側から見れば、カジノ側の儲けは20万円です。
この場合のホールド率は、20万円/100万円=20% ということになります。
そして、2004年~2023年9月までのネバダ州カジノのホールド率の年平均は下記となっています。
ブラックジャック:12.72%
クラップス:14.15%
ルーレット:18.74%
バカラ:12.55%
ミニ・バカラ:10.92%
テーブルゲーム計:13.09%
スロットマシン計:6.43%
今回の事件に関与したオンラインカジノの利益率が44.4%なのであれば、それは、まっとうな運営が行われていない証となります。
今後の全容解明に期待します。