2022年05月21日

<動画>不正ディーラーの常套手段、靴や靴下に隠してチップを盗む

<動画>不正ディーラーの常套手段、靴や靴下に隠してチップを盗む

ざっくり言うと

  • バカラテーブルからチップを盗むマカオのカジノディーラー
  • チップを故意に床に落とし、それを足の指を使って挟み靴の中に入れる手口
  • <動画>チップを盗むシドニーのThe Star Casinoのディーラー

定期的にニュースで目にするカジノディーラーの不正

少し古い資料ですがPrism Solutions Inc.のレポート『カジノ事業における重大な課題と対策~イカサマ(チート)・不正、ギャンブル依存症、マネーロンダリング~』によると、2015年度のラスベガスの不正による被害総額は推計52億円、発覚した事件数は約600件、逮捕者約1,000人のうち4分の1が中の人(スーパーバイザー、ディーラー、キャッシャーなど)によるものです。

そして、今回、新たにマカオ新聞が報じた記事によると、カジノディーラーが高額チップを故意に落として靴の中へ隠す手口で逮捕されました。言わずもがなですが、ディーラーのユニフォームには、盗んだチップを隠すためのポケットはありません。


『マカオ司法警察局は5月19日、勤務先からカジノチップを着服したマカオ人のカジノディーラー職の女(54)を業務上横領罪で逮捕、検察院送致したと発表。警察発表によれば、5月7日にカジノ施設から同局へディーラー職スタッフによる着服があり、責任を追求したい旨の通報が寄せられたとのこと。同月3日午前1時頃、ディーラー職スタッフ1人がバカラのゲーミングテーブルを担当している際、額面1万香港ドル(日本円換算:約16万円)のチップ1枚を着服したのを監視部門のスタッフが発見し、このディーラーは本件が発覚以降出勤していないとの説明があったとした。その後の同局の捜査において、被疑者がテーブル上にあったチップを故意に床に落とし、それを足の指を使って挟み、靴の中に入れる一部始終が確認できたという。被疑者はマカオを離れていたが、15日夕方に入境したことがわかり、イミグレーション施設内で逮捕された。被疑者は警察の調べに対し、つい出来心で一度だけやってしまったと犯行を認めた上、カネの行方については生活費に充て使い果たしたなどと供述したとのこと。』
(マカオ新聞より)

 

【参考映像】チップを盗むシドニーのThe Star Casinoのディーラー

バカラのテーブルで、ディーラーがプレイヤーと話している間に、チェックラック(配当用のチップを置いておくトレイ)から小指と薬指で5,000オーストラリアドル(約45万円)チップをつまみ、そのまま手のひらに隠して、靴か靴下の中に入れて盗もうとしています。

 


チップを盗む際の映像(21秒)は、こちらのサイトで公開されています。

余談ですが、ディーラーはチップを触る前後、ハンドフラッシュ(手にチップを隠し持っていないことをカメラに見せる動作)を義務づけられているのですが、この逮捕されたディーラーもチップを靴か靴下に隠した後、わざとらしくハンドフラッシュする仕草が滑稽です。

 

【類似事件】シンガポールのリゾート・ワールド・セントーサで、ディーラーが77,000シンガポールドル(約700万円)のチップを盗んだ事件

<事件の概要>
28歳の中国人Ding Zhipeng(ディン・ツポーン)は、2017年7月からリゾート・ワールド・セントーサでカジノディーラーとして働き始め、2018年11月中旬までに、カジノテーブルから77,000シンガポールドル相当のチップを盗み逮捕。
2018年11月12日の逮捕時、彼のズボンには2枚の1,000シンガポールドル相当のチップが隠されており、さらに、その日の家宅捜索で1,000シンガポールドルと3,000シンガポールドル相当のチップ72枚が押収された。

<判決>
懲役9ヵ月6週間、罰金12,000シンガポールドル(約110万円)、罰金が払えなければ懲役は3週間延長。もちろん刑が執行されても、カジノから盗んだお金の返済が免除されることはありません。

 

◆さいごに

今年の4月、通路に落ちていた高額チップをネコババした客が監視カメラの映像から特定され、逮捕される事件がありました。

『中国本土からマカオを訪れていた男性(27)がゲームに興じていた際、ポケットに入れていた額面10万香港ドル(日本円換算:約150万円)のチップ1枚がなくなっていることに気づき、ポケットから別のものを取り出す際に地面に落とした可能性もあるとして周辺を探したが見つからず、警察に通報が寄せられたという。通報を受けた警察が捜査に着手し、現場の監視カメラ映像を分析したところ、通報者の近くを通りがかった人物が地面に落ちていたチップを見つけ、携帯電話を故意に落とし、チップと一緒に拾い上げ、そのまま持ち去っていたことが判明。その後、被疑者の身元の特定し、翌日(31日)に別のカジノ施設内で被疑者の身柄を確保したとのこと。』(マカオ新聞より)

日々進化を遂げる監視カメラ、恐るべし。


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