ざっくり言うと
- じゃい氏が自身のYoutubeチャンネルで「破産」したことを報告
- 税務署からマンションを買えるくらいの請求がきたことが原因
- 公営ギャンブルの勝ちには税金がかかる
- 過去の負け分は経費としては認められない
2022年6月5日、お笑いトリオ、インスタントジョンソンのじゃい氏が、自身のYoutubeチャンネルで「破産」したことを報告しました。
【超緊急配信】じゃいのところへ税務署がやって来た(13分45秒)
【緊急生配信】破産動画の補足をさせていただきます【競馬の税金】(12分40秒)
じゃい氏と言えば、ねっからの穴党で、これまで何度も万馬券を的中させてきた競馬のプロです。
最近では、2020年12月の川崎競馬で6,410万6,465円の大穴を的中させ、大きな話題となりました。
また、ギャンブル関係の著書も多数出版しているねっからのギャンブラーです。
・稼ぐギャンブル 5000万円稼いだ芸人が教える50の法則
・勝てる馬券の買い方
・図解 博才が必ず身に付くギャンブルのセオリー 最強ギャンブラー芸人じゃいばかりがなぜ儲かるのか?
・稼ぐギャンブル 実践編 5000万円稼いだ芸人が答える33の質問
など
◆じゃい氏はなぜ破産してしまったのか?
昨秋に、自宅に税務署の男性2人が訪ねてきて、「調べさせてほしい」と通帳や過去の資料などを持って行ったという。結果、マンションを買えるくらいの請求がきたとのことです。
税金の支払いを求められた理由は、「外れ馬券が経費にならないということ。分かりやすく言えば、1億円を使って1億5,000万円当たったら、1億5,000万円に税金がかかるので、5,000万円しか勝っていないのに、まるまる持って行かれるというような状態」とじゃい氏は語っています。
そして、じゃい氏は、身内から資金を工面するなど、全額を納税をする方向で、現在、調整しているとのことです。
◆公営ギャンブルの勝ちには税金がかかる
公営ギャンブルで得た一定以上の収入は、一時所得や雑所得として税務署に申告する必要があります。会社員などの場合は一般的に、90万円超のもうけは申告しなければいけません。
公営ギャンブルの払戻金は原則、「一時所得」に分類され、当たり投票券の購入に要した経費を差し引いた上で、50万円の特別控除を超える利益があった場合、超えた額の2分の1が所得税の課税対象となります。例えば、100万円分の馬券を購入して払戻金が1,050万円だった場合、450万円が一時所得となり税金が課されます。
また、1,000万円負け続けて、今回、たまたま大穴を当てたといった場合でも、過去の負け分を経費とすることはできません。
画像出典:ライブドアニュース
<6月11日追記>
じゃい氏は、7年前までは一時所得で申告していましたが、仕事でも競馬などに携わっているため、周囲から「雑所得でいける」というアドバイスを得て、その後は雑所得で申告していたとのことです。しかし、国税局が雑所得とは認められないと判断したことで、一時所得と雑所得の税率の違いから、今回、莫大な税金を納めざるを得ない状況に追い込まれました。
◆公営ギャンブル非課税化の気運が高まれば、控除率が上がるかも
公営ギャンブルの配当金の算出は、パリミュチュエル方式(投票券の総売り上げをプールし、胴元はそこから一定割合を差し引き、残りの金額を勝ち投票券に配分する方法)を採用しており、控除率(胴元の取り分)は約25%に設定されています。
<勝馬投票法ごとの払戻率>
単勝: 80.0%
複勝: 80.0%
枠連: 77.5%
馬連: 77.5%
ワイド: 77.5%
馬単: 75.0%
3連複: 75.0%
3連単: 72.5%
WIN5: 70.0%
一方で、宝くじの控除率(胴元の取り分)は55%と非常に高く設定されていますが、当せん金に税金がかかることはありません。
公営ギャンブル非課税化の気運が高まれば、公営ギャンブルも宝くじ同様、最初から税金分を差し引いて配当すればいいといった意見が出てくることが予想されます。
そして、法改正を経て、公営ギャンブルの控除率が上がるようなことになれば、当然、公営ギャンブルで勝つことはさらに難しくなります。
◆1,000万円以上の大穴的中、8割が未申告
2018年10月10日、朝日新聞デジタルが報じた記事によると、競馬や競輪などでの高額払戻金について会計検査院が調べたところ、1,000万円以上の「大穴」で当たった金額の8割ほどは税務申告されていない可能性があるとのことです。
『競馬や競輪などでの高額払戻金について会計検査院が調べたところ、1千万円以上の「大穴」で当たった金額の8割ほどは税務申告されていない可能性があることがわかった。主催者側から聞き取った2015年の払戻金約127億円に対し、税務申告されたとみられるのは二十数億円だったという。関係者への取材でわかった。(中略)15年の1年間に1回の払戻金が1050万円以上あったケースを聞き取った。中央競馬では100円のかけ金、中央競馬以外では50~200円のかけ金にそれぞれ絞って調べたところ、計約530口で約127億円の払戻金があったという。』(朝日新聞デジタルより)
こちらの記事は、100円が1050万円以上の払戻金が対象となっており、調査対象となっている高額払戻金は、競馬なら予想系の「WIN5」、競輪ならLOTO系の「Dokanto!(ドカント)」などです。通常の3連単の馬券や車券の話ではありません。
◆さいごに
従来の競馬場や場外馬券売り場であれば、馬券購入や換金の際に本人確認を求められることがないため、ほとんどのギャンブラーが大勝ちしても税金を申告することはありませんでした。
しかし、売上の8~9割がネット経由となった今、公営ギャンブル主催者は、誰がいつ・いくら勝ったのかを正確に把握できるようになりました。
現時点では、この投票券の販売データが税金徴収に使用された話は聞いたことがありませんが、国が本気で税金を徴収しようと思えば、いつでも徴収できるという話です。ご注意を。