ざっくり言うと
- カジノは、室内の酸素濃度を高め、客のプレイ時間を延ばしている?
- ラスベガスでは、火災リスクの点で酸素濃度を高めることを禁止
- 他国のカジノやもぐりのカジノでは、酸素濃度を高めているという噂も
カジノでは、不思議と元気が沸いてくる。
これはカジノ内の心地よい香り、低めに設定された温度、そして、一説には高い酸素濃度のためだと言われています。
先日観た映画『カジノ・ハウス』でも、カジノの儲けを増やすために、ボンベから酸素を注入して、室内の酸素濃度を高めるシーンが描かれていました。この映画は、娘の学費を稼ぐため違法カジノを開業した家族のハチャメチャコメディーです。
カジノは、室内の酸素濃度を高めることでギャンブラーを覚醒させ、プレイ時間を延ばして巻き上げているという都市伝説。さて、その真偽はいかに?
◆噂の発端
カジノが酸素を送り込んでいるという噂の発端は、「ゴッドファーザー」の著者として有名なマリオ・プーゾの1978年の小説「Fools Die」(愚か者は死ね)とする説が有力とされています。
小説の中で、ラスベガスの偽ホテル・ザナドゥのカジノオーナーが、「ギャンブラーたちが眠くならないように、カジノの空調システムに純粋な酸素を送り込むように」と、ビルのエンジニアに午前2時に定期的に電話をかけています。
◆酸素濃度を高めるとプレイ時間が増えるのか?
酸素濃度と聞いて、ぱっと思いつくことに高山病があります。
一般に、高所では酸素濃度が薄くなると思われがちですが、それは誤りで、酸素だけが薄くなるのではなく空気全体が薄くなり酸素の絶対量が減少します。
平地の酸素濃度と富士山山頂の酸素濃度は同じ20.93%ですが、富士山山頂の気圧は平地の約64%で、富士山山頂では、平地20.93%×64%=13.4%の濃度の酸素を吸っているのと同じ状態です。
そして、高山病になると、頭痛、めまい、混乱、胸の痛みなど、さまざまな問題が発生します。
では、逆に酸素濃度が高いとどうなるのでしょうか?
高酸素濃度で思いつくのがアスリートや芸能人に人気の酸素カプセル。一般には、高濃度の酸素カプセルの中に入り、体内によりたくさんの酸素を取り入れることで、認知機能向上、疲労回復、創傷治癒促進、エイジングケアなどの効果があるとされています。
ただし、これらの効果は、学術的にはまだ十分な証明がなされていません。
◆ラスベガスでは、酸素濃度を高めるのは違法
カジノのゲームには、すべてハウスエッジ(胴元の取り分)が設定されており、客がプレイすればするほど、より多くのお金を失う可能性は高くなります。酸素濃度を高めることでプレイ時間が増えるのであれば、酸素濃度を高めたいと考えるカジノオーナーは少なくないはずです。
しかしながら、ラスベガス賭博委員会は、カジノが酸素濃度を高めることを禁止しています。そして、定期的に賭博委員会のメンバーがカジノを訪れ、施設内の酸素濃度をチェックしています。
この禁止措置は、火災リスクを大義名分としています。酸素は、物を燃えやすくする性質があり、火災が起こると火の広がりを劇的に速めます。そのため、混雑したカジノに酸素を送り込む行為は禁止されています。加えて、火災保険契約にも違反するため、有事の際、保険金がが支払われないという最大のリスクをカジノは抱えることになります。
ただし、ラスベガスのオフィシャルなカジノでは禁止でも、他国のカジノやもぐりのカジノで行われていないという話ではありません。例えば、マカオのカジノでは、タバコに火をつける時、ライターの炎がいつもより大きい、妖しい色になるといった噂が堪えません。
◆さいごに
数年前、とあるパチンコ店に貼られたポスターがソーシャルメディアで話題になりました。
パチンコ店のよりお金を使わせたいという思惑が見え隠れしたことで、案の定、炎上し、以後、同様の取り組みを目にすることはありません。
<高濃度酸素の中でパチンコをしませんか?>
高濃度さんの効果は?
普段酸素の届きにくい細胞、手先、足元、毛細血管で覆われている組織の先まで酸素が送り届けられることによって代謝が向上し、身体機能の改善や健康体力の維持増進が期待できます。
意味不明 pic.twitter.com/oHPdLNm3tD
— 葛 (@kohak3) January 3, 2017