ざっくり言うと
- あるギャンブラーが高級カジノで約60万ポンド(約9,660万円)負ける
- 彼はその支払いを拒否し無効だと主張
- 理由は、カジノのスタッフが酒とギャンブルを勧めひどく酔っていたから
2023年3月18日、英大衆紙『ミラー』の報道によると、ハイローラーのLester Hui氏は、イギリスのメイフェアにある高級カジノで約60万ポンド(約9,660万円)負けた後、その支払いを拒否したとしてAspinall’s Clubs Ltdに訴えられています。彼が支払いを拒否している理由は、カジノのスタッフが酒とギャンブルを勧め、ひどく酔っていたからだと主張しています。
High roller claims top Mayfair casino plied him with ‘firewater’ as he gambled away £600k
(ハイローラー、メイフェアのトップカジノで「火酒」を飲まされ60万ポンドを失ったと主張)
Hui氏は、Curzon Streetにあるアスピノール社のカジノでダブルチャンス・バカラをプレイして60万ポンドを失い、その後、支払いを拒否したため、アスピノール社に訴えられています。
Hui氏は、カジノは彼が酔っぱらっていてプレイできないにもかかわらずギャンブルを勧め、「火酒」(アルコール度数の高い酒)として有名な中国酒のマオタイを提供し続けたと主張しています。そして、酔った勢いで大金を賭けてしまい、カジノのスタッフがアスピナル社が勝つように彼を誘導していたと証言しています。そして、彼の弁護士は、アスピノール社がギャンブルライセンスに基づく社会的責任の不履行を主張しています。
アスピノール社のカジノは、長年にわたり王族や著名人に愛用されてきたイギリスの高級会員制カジノです。アスピノール社は、当社のような高級クラブにとって泥酔した客にお金を浪費させることでクラブの名前を危険にさらすことは理にかなっていないと、Hui氏の主張は馬鹿げていて根拠がないものだと主張しています。
そして、アスピノール社は、監視映像からHui氏が明確な判断ができる程度にしか酔っておらず、その後、早朝には自分で運転して帰宅したことを理由に、Hui氏へ支払いを要求しています。
また、Hui氏は、事前に、今日は酔っぱらうつもりだから負けが3万ポンドになったら切り上げるようスタッフに言っていたと主張していますが、アスピノール社はこれを否定しています。アスピノール社の弁護士は、もしHui氏がそのような要求をしていたのであれば、その要求は記録され、さらに、もしHui氏が酔っ払っていたなら、彼は全くプレーすることを許されなかったと指摘しています。
高等裁判所によると、Hui氏は最初は勝っていたが夜が明ける頃には60万ポンド負け、プレー終了後、彼はクラブに60万ポンドからフロントマネー(デポジット)を差し引いた589,724ポンドの小切手にサインをしましたが、カジノが小切手を現金化しようとしたところ不渡りになったとのことです。アスピノール社は、当初、裁判ではなく債務を解決するよう何度も試みましたが、最終的に2019年9月、契約違反と小切手の不渡りを理由にHui氏を訴えています。一方で、Hui氏は、失神するほど酔っていたため法的能力がないとして、契約書も小切手も強制執行できないと主張しています。
この事件は係争中で、判決はまだ出ていません。
◆さいごに
Hui氏の主張は、さすがに無理があるのでは。
万一、彼の主張が認められるようなら、酔ったもん勝ちという話になりますね。
※サムネイル画像は、ミラー紙より