2023年12月03日

BJの一番左の席が初心者NGな訳(プロスペクト理論)

小ネタ
BJの一番左の席が初心者NGな訳(プロスペクト理論)

ざっくり言うと

  • 『サードのアクションが他のプレイヤーの勝率に影響する』という神話
  • 実際は、サードのアクションが他のプレイヤーの勝率に影響することはない
  • この神話に熱心な信奉者が多い理由をプロスペクト理論で解説

2023年12月3日、ブラックジャックにおいて、一番左の席(ディーラーから向かって一番右の席)は、「サードベース」 「サードスポット」「アンカー」などと呼ばれ、カードが最後に配られるためディーラーのハンドに影響があると言われています。

 

◆サードベースの神話

「サードベースのプレイヤーがステイするかどうかで他のプレイヤーに利益や不利益が生じる」

はたしてこの神話は真実なのでしょうか?

サードベースのプレイヤー(以下、サード)がヒットしなければ、次のカードはディーラーに配られます。その結果、ディーラーがブラックジャックになることもあれば、バーストすることもあります。そのため、サードのアクションがディーラーのハンドに影響すると考えている人は少なくありません。

しかし、この考えは誤りです。

単一のゲームで見ればサードがヒットしなければ、ディーラーに「A」が入って21になることはなかった、などと後付けで文句を言う人がいます。しかし、それは結果論でしかありません。サードのアクションがどうであれ、その時点ではディーラーの最終ハンドは誰にもわからないからです。

 


サードのアクションが他のプレイヤーの期待結果に影響することはない

ブラックジャックには、その勝率を最大限に高めるための戦略「ベーシックストラテジー」が存在します。ベーシックストラテジーに従ってプレイすれば、ブラックジャックの控除率(胴元の取り分)は約0.5%にまで低下します。


(画像出典:casino.org

上記、ベーシックストラテジーの表からも分かるように、ブラックジャックの勝敗は、プレイヤーの2枚の手札とディーラーのアップカードだけで判断されています。

サードのアクションは、時には、テーブル全体に損をさせることもあれば、逆に、テーブル全体を救うこともありますが、サードのアクションが他のプレイヤーの期待結果に影響することはありません。

ただし、あなた自身がサードの悪手にいらいらして、ベーシックストラテジーに逆らったアクションをすることがないよう注意が必要です。

 


◆サードの悪手がより印象に残る訳

2002年にノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン博士によると、100万円勝つ喜びと、100万円負けるショックでは、多くの人が失う100万円を大きいと感じるそうです。この傾向は、プロスペクト理論 (Prospect theory)と呼ばれています。

<質問1>あなたはどちらを選びますか?
A:100万円が無条件で手に入る
B:コインを投げ、表が出たら200万円が手に入るが、裏が出たら何も手に入らない

<質問2>あなたは200万円の負債を抱えているものとして、どちらを選びますか?
A:無条件で負債が100万円減額され、負債総額が100万円となる
B:コインを投げ、表が出たら支払いが全額免除されるが、裏が出たら負債総額は変わらない

多くの人が、質問1ではAを、質問2ではBを選び、また、質問1でAを選んだ堅実な人のほぼすべてが質問2ではギャンブル性の高いBを選ぶことが知られています。

このことから、100万円を手に入れる喜びと、100万円を失うショックでは、どちらも同じ100万円であるにもかかわらず、多くの人が失う100万円を大きいと感じるようです。

 


(画像出典:SUTUDY HACKER

 

プロスペクト理論をブラックジャックに当てはめて考えれば、

①ディーラーのアップカードが「K」にもかかわらず、サードが意味不明なステイを行った結果、ディーラーがバーストして10万円を獲得した。

②ディーラーのアップカードが「6」にもかかわらず、サードが無謀なヒットを行った結果、ディーラーが21になってしまい10万円を失った。

この場合、①の利益より、②の損失をより大きいと感じてしまい、サードの悪手がより印象に残ることになります。

 


◆さいごに

ブラックジャックプレイヤーの中には、初心者がテーブルに入ることを極端に嫌う人がいます。自身も隣のプレイヤーがテーブルを去る時、「この下手な日本人のせいで負けた」と捨て台詞を吐かれたことがあります。

無用なトラブルを避ける意味で、また、マナーとして、初心者はベーシックストラテジーを完全にマスターするまでは、サードベースには座らないことをおすすめします。