ざっくり言うと
- 大学中退後、仲間たちとハンバーガーを売り始める
- コンビニ、ガソリンスタンド、ドッグレース場、カジノへと事業を拡大
- Forbes2017年によると、ラフィンの純資産は33億ドル(約5,000億円)
複数のカジノを買収し、アメリカで最も成功したビジネスマンのひとりとなったフィリップ・ジーン・ラフィン。
ラフィンは、1935年3月14日、テキサス州の労働者階級家庭の8人兄弟の次男として生まれます。両親は食料品店とガソリンスタンドを経営しており、ラフィンは幼い頃からそこで働いていました。
1953年、ラフィンは高校を卒業して、カンザス州トピカにあるウォッシュバーン大学に入学しますがわずか1年で中退。大学中退後、仲間たちとハンバーガーを売り始め、2万9,000ドルで自分の持ち分を手放して1軒のコンビニを買い取ります。そして、父親から3,000ドルの融資を受け、1959年に最初のガソリンスタンドをオープン。その後、さらにガソリンスタンドを買収し、そこから本格的に不動産投資事業を始めます。
1980年代、ラフィンは、アメリカのドッグレース場を買収し、ギャンブル事業に参入します。
1985年、ラフィンは、カンザス州ウィチタにある最初のドッグレース場、ウィチタ・グレイハウンド・パートを150万ドルで購入し、数年で収益性の高いビジネスに成長させます。その後、マサチューセッツ州のレイナム・タウントン・グレイハウンド・パークやアラバマ州のモービル・グレイハウンド・パークなど、全米のドッグレース場を次々とを買収していきます。
また、同じころ、ラフィンは、アリゾナ州タスコンのカジノ・デル・ソルなど、いくつかのカジノも購入しています。
ギャンブル業界における彼の成功の一因は、割安な資産を見極め、それを収益性の高いビジネスに変える能力にあります。さらに、ハラーズ・エンターテインメントとのジョイントベンチャーで、ミズーリ州カンザスシティにカジノを建設するなど、カジノ業界の有力者たちとパートナーシップを結び、どんどんカジノ事業を拡大していきます。
1994年、保有するすべてのガソリンスタンドをフランスの石油大手トタルに5,000万ドルでリースし、その契約をもとに借り入れた2,000万ドルでバハマのカジノを買収。10年後に売却した際の金額は1億4,700万ドルでした。
1998年、ラフィンは、1942年創業でラスベガスでリゾートホテルとして2番目に古いニュー・フロンティア・ホテル・アンド・カジノを1億6,500万ドルで買収します。これは、彼のキャリアの中でも最大級の買収となります。
ラフィンは、買収後すぐに、カジノ、ホテルの客室、レストランを近代化するための改装に3,500万ドル以上を費やし、マジシャンのランス・バートンや歌手のデビー・ブーンなどの人気アーティストによる新しいショーを開始します。ラフィンは、2006年までにニューフロンティアを年間1億ドルの収益を上げる施設に成長させ、2007年、この施設をイスラエルの億万長者イツハク・トゥーヴァに購入時の6倍となる12億ドルで売却しています。
2008年11月、ラフィンは、トレジャー・アイランド・ホテル&カジノを7億7,500万ドルで買収する契約をMGMと結びますが、彼は、十分な資金を準備することができず、この取引は失敗に終わります。しかし、ラフィンは交渉を続け、最終的に2009年初めドイツ銀行から融資を受け、以前の買収額よりも安い5億ドルで新たな売買契約を結ぶことに成功します。
その後、彼は数百万ドルを投資しカジノ施設をアップグレードしていきます。これらの努力により、トレジャー・アイランドは海賊をテーマにした内装、高級アメニティ、シルク・ド・ソレイユによる魅力的なショー、活気あるカジノなど、ラスベガス・ストリップの人気スポットになりました。
2008年、ラフィンは、47歳年下の元ミス・ウクライナ、オレクサンドラと結婚したことでも話題になりました。
最近では、2019年、サーカス・サーカスとラスベガス・フェスティバル・グラウンドを8億2,500万ドルでMGMから買収しています。
ラフィンは、89歳になった今ても精力的にビジネスを展開しています。Forbesの2017年ビリオネアランキングでは、ラフィンの純資産は33億ドル(約5,000億円)の814位。トレジャー・アイランド・ホテル&カジノの他、唯一無二の盟友ドナルド・トランプと共にトランプ・インターナショナル・ラスベガス・ホテルの50%も所有しています。
※画像出典:Forbes