2023年10月27日

ルーレットで特定の数字を狙うイカサマ、ディーラーと客に実刑判決

ルーレットで特定の数字を狙うイカサマ、ディーラーと客に実刑判決

ざっくり言うと

  • ルーレットのディーラーは、特定の数字を狙えるのか?
  • 世界でも有数のトップカジノ マリーナベイ・サンズで起こった事件
  • 特定の数字を狙ったディーラーに実刑判決。裁判でその詳細が明らかに

2023年10月27日、複数メディアの報道によると、ルーレットで特定の数字に玉を落とした罪で、ディーラーとプレイヤーに実刑判決が下りました。

◆ディーラーは特定の数字を狙える?

神話的に語られることの多いテーマですが、今回、裁判でその実態が明らかにされています。
事件が起こった場所は、シンガポールのマリーナベイ・サンズ。世界でも有数のトップカジノのひとつです。

実刑判決を受けたのは、ギャンブラーのDaniel Koh Tze Zhou(33歳)と、ふたりのディーラーSoh Xuan Rong(25歳)、Ting Zhi Ping Marcus(27歳)。ギャンブラーのコーとディーラーのソーは、裁判の中で罪を認め、28週間の禁固刑が言い渡されました。もう一人のディーラーのティンは、以前の裁判ですでに収監されています。

 

◆イカサマの詳細

3人のイカサマは、マリーナベイ・サンズの監視部門による定期的なチェックで発覚し、2021年7月末に警察の報告書としてまとめられています。

ギャンブラーのコーは、自分が賭けた数字に玉が落ちればバックマージンを支払うとディーラーに持ち掛けます。その話に乗ったのがソーとティンの二人のディーラーです。

2021年7月1日から7月12日の間に、コーは、ソーが投げるルーレットで174ゲームプレイし2,330シンガポールドル(約26万円)、ティンが投げるルーレットで18ゲームプレイし1,215シンガポールドル(約13万円)を不正に獲得しました。

 

裁判資料によると、ソーがルーレットのディーラーとして働いていたとき、コーが隣り合っている3つの数字(32、15、19)にだけ賭けていることに気づきます。

「0」と「00」の数字は、赤・黒・偶数・奇数など、いずれに賭けていても親の総取りになってしまう不吉な数字です。「0」「00」が当たりになるためには、「0」「00」の数字にピンポイントで賭けるしかありません。加えて、「0」と「00」だけが緑色なのは、ディーラーが狙いやすくするためとも言われています。実際にディーラーが数字を狙うときは、緑色を目印にして玉を投げています。

そして、コーが賭けていた3つの数字(32、15、19)は、ヨーロピアンルーレット(下記画像の右側のホイール)で、「0」の右隣の3つの数字です。一般に、玉は時計回り、ホイールは反時計回りなので、「0」を目印にして(32、15、19)を狙うことになります。

ディーラーのソーは、コーが彼女のテーブルでプレイしたときに話をするようになり、その後、ソーはコーに自分のルーレット台でプレイするようコーに持ち掛けます。一般に、ディーラーにはノルマのような売上目標が設定されているためです。

コーは、自分が賭けている3つの数字のどれかに玉が落ちれば、ソーに70シンガポールドル(約7,700円)のバックマージンを支払うことで二人は合意します。そして、2021年2月以降、ソーは同僚のティンをこの不正に引き込んでいます。

コーは、テレグラムを使ってソーと連絡を取り、彼女やティンがいつ仕事に入っているかを把握し、彼女たちのルーレット台でプレイしていました。そして、自分が賭けている数字に玉が入るたびに、コーはカジノの外でソーにバックマージンを渡していました。

コーの1日での最大獲得額は4,305シンガポールドル(約47万円)、最大損失額は5,000シンガポールドル(約55万円)。

コーは、ソーに合計約1,000シンガポールドル(約11万円)を、また、ディンにも500~1,000シンガポールドル(約5~11万円)のバックマージンを支払っています。

 

 

◆さいごに

現在のルーレットでは、ディーラーが狙って玉を1つの数字に落とすことは現実的には不可能です。しかし、かなりの練習を積めば、ある程度は特定のゾーンに落とすことは可能です。可能だからこそ、今のカジノでは、玉を投げる時はホイールを見ないが暗黙の了解となっています。今回の一番の驚きは、この事件が世界でも有数のトップカジノ マリーナベイ・サンズで起こったということです。

 

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