ざっくり言うと
- バカラディーラーがゲームを不正に操作し、カジノに約1,800万円の損害を与える
- ウォッシングの際、カードを並び替えながらシャッフルする手口
- ディーラーは、2件の第一級窃盗罪、4件の第二級窃盗罪、1件の第三級窃盗罪で起訴
2024年1月16日、米国コネティカット州のカジノリゾートで、バカラディーラーがゲームを不正に操作し、カジノに約1,800万円(124,000ドル)の損害を与えたとして起訴されました。
起訴されたのは、モヒガン・サンのバカラディーラー ユー・ウェン・フー(Yu Wen Fu)64歳。
警察の報告書によると、2023年4月21日、バカラのピットマネージャーは、ディーラーのフー容疑者がカードを不審に扱っていることに気づきます。ピットマネージャーは、カジノの監視部門に通報し、担当者が監視カメラでフー容疑者のディーリングを追跡したところ、フー容疑者の不正が発覚しました。
◆イカサマの手口
このカジノでは、バカラのディーラーは、カードをシャッフルする際、ウォッシング(テーブル上でカードを裏向きのままランダムにかき混ぜる、俗にいう「焼きそば」)を行うよう手順が定められていました。
フー容疑者は、ウォッシングの際、一部のカードを表にしてカードの種類を確認し、特定のカードを抜き取り、それを並び替えながらシャッフルを終えます。バカラでは、10と絵札は「0」、その他のカードはすべて額面通りに数え、2枚もしくは3枚の合計が「9」になれば最強の手となります。フー容疑者は、1枚目のカードに「0」(10か絵札)、2枚目のカードに「9」が出るようカードを仕込み、そのカードが出るタイミングで仲間に合図を送っていた容疑が持たれています。
報告書には、プレイヤーが2、3回少額の賭けをした後、あたかも勝ちカードが出ることを知っているかのような大きな賭けをし、その通りになったことが記載されています。
フー容疑者は、警察の取り調べに対して、カードをウォッシングする際、誤って表向きになったカードを直すことはあるが、カードを表向きにして自分や他人のために並べ直すことはないと容疑を否定しています。
◆裁判の行方
警察は、1ヶ月前からの監視カメラの映像を調べ、複数回、フー容疑者と仲間のプレイヤーが同じテーブルにいたことを確認。そして、2023年3月29日から4月20日の間に、フー容疑者の不正行為でカジノが被った損失が124,260ドル(約1,800万円)と特定しています。
フー容疑者は、2023年11月15日に逮捕され、2件の第一級窃盗罪、4件の第二級窃盗罪、1件の第三級窃盗罪で起訴されました。
現在、フー容疑者は、25,000ドルの保釈金を支払い保釈されていますが、有罪となれば、最高5年の禁固刑と5,000ドルの罰金が科せられることになります。
また、4月21日、警察は、モヒガン・サンのホテルの部屋で仲間のプレイヤーを事情聴取しています。プレイヤーは、フー容疑者とのカジノ外で交流や共謀を否定しましたが、ふたりの携帯電話にはお互いの電話番号が登録されていました。結果、プレイヤーは、カジノから永久追放となりますが、起訴はされませんでした。