ざっくり言うと
- 賭けマージャンサイト「DORA麻雀」が摘発
- オンラインカジノ事業者が逮捕されるのは国内初
- 会員数は約74,000人、ゲーム代として約23億円の入金
2024年2月19日、京都府警サイバー捜査課や沖縄県警サイバー犯罪対策課など6府県警合同捜査本部は、インターネットで賭けマージャンをさせるオンラインカジノを日本国内で運営していたとして、20代から40代までの会社員ら7人を逮捕したと発表しました。
これまで海外のオンラインカジノでギャンブルをした客が逮捕されることはありましたが、オンラインカジノ事業者が逮捕されるのは国内初。警察庁によると、オンラインカジノで賭博をしたとして検挙されたのは、令和4年までの3年間で307人にのぼるとのことです。
合同捜査本部によると、逮捕容疑は、7人で共謀し昨年3~12月ごろ、海外法人が管理する会員制のオンラインカジノに、国内から接続してきた20~50代の男性客6人から賭博の場所代として金銭を集めたなどとして、賭博開帳図利の疑いが持たれています。
摘発されたオンラインカジノは、賭けマージャンサイト「DORA麻雀」。また、逮捕されたのはアメリカ国籍の男のほか、福岡や沖縄に住む25歳から47歳の会社員ら合わせて7人です。
「DORA麻雀」は、サイトを開設した2011年から去年12月までの約10年間で会員数は約74,000人に上り、ゲーム代として約23億円の入金があり、そこから、勝利金の10%(東風戦)、15%(半荘戦)を場所代として徴収していたとみられています。
「DORA麻雀」は、マン島政府が発行するオンラインゲーミングライセンスを保持し、また、オンラインゲーミングの規制・保障・調停等を行う非営利団体ecograの認証も受けていました。そして、サイト上では違法性はないとうたっていました。
合同捜査本部によると、取り調べに対し、容疑者の3人は容疑を認め、ほかの4人は「サイトに関する仕事はしていたが、自分の担当していた部分は違法でないと思っていた」などと一部を否認しています。加えて、今回の容疑対象となった客6人を含む十数人に対し、賭博の容疑で捜査が進められているとのことです。
<3月9日追記>
合同捜査本部は、東京や大阪などに住む27~51歳の会社員など客の6人を常習賭博の疑いで書類送検しました。
警察によると、6人は、令和5年3月から12月にかけて、「DORA麻雀」で金を賭けて賭博をしたとして、常習賭博の疑いがもたれています。警察の調べに対し、いずれも容疑を認めているということです。
また、検察は、先に逮捕された7人に対して、3人を賭博開帳図利の罪で、別の3人を賭博開帳図利ほう助の罪で起訴し、1人を不起訴にしています。
<6月11日追記>
大阪府警は、ペーパー会社の法人口座を使った資金洗浄(マネーロンダリング)事件で、「DORA麻雀」の資金洗浄にも関与したとして、容疑者ら13人を組織犯罪処罰法違反(犯罪収益の隠匿)などの疑いで再逮捕しました。13人は、他人名義でペーパー会社をつくって口座を設け、投資詐欺の被害金を資金洗浄したなどとして先月、大阪府警に逮捕されていました。
大阪府警によると、容疑者らは収納代行業などを手がける「リバトングループ」を名乗り、約4千の法人口座を開設。少なくとも約700億円が入金され、月約4億円がグループの取り分となっており、違法なオンラインカジノの賭け金が60%余りを占めていたとのことです。
<11月1日追記>
愛知県警などの合同捜査本部は、オンラインカジノの決済システムを運用していた「リバトン」のトップ石川容疑者らメンバー計11人を常習賭博容疑で再逮捕し、送検したと発表しました。石川容疑者は組織犯罪処罰法違反などの容疑で7月に大阪府警に逮捕されたマネーロンダリング(資金洗浄)グループ「リバトン」の最高幹部。
愛知県警によると、11人はオンラインカジノを運営していた他の組織と共謀して、2023年9月ごろから2024年3月ごろにかけて、8人の客に対し108回にわたりポイントを購入させ常習的に賭博をさせた疑いが持たれています。石川容疑者らは、複数の違法なオンラインカジノの決済システムを管理・運用するグループのメンバーで、2022年12月ごろから2024年3月ごろにかけて、グループには延べ約4万人から合わせて約18億3,000万円の入金が確認されているということです。
「リバトン」は、SNSで「闇バイト」を募り、架空会社名義の銀行口座を大量に開設。オンラインカジノの決済システムを構築し、入金額の約2~4%を手数料収入として得ていたとのこと。「リバトン」には約40人が所属し、国外の50以上のオンラインカジノと契約していたとみられています。警察は、11人の認否を明らかにしていません。
<11月21日追記>
愛知県警などの合同捜査本部は、逮捕されていた11人を客に賭け金を振り込ませるため実態のない会社の口座などを開設したとして詐欺の疑いで再逮捕しました。「リバトン」が管理する口座は4,000以上あるとのことで、警察が実態解明を進めています。
また、その後の警察の調べで、ペーパーカンパニーの設立と口座を実際に開設したのは、容疑者らから指示を受けた8つのグループがいわゆる「闇バイト」として勧誘したメンバーだったことが分かりました。このグループは勧誘する際、SNSに「報酬単価2万円」、「税金問題、違法性なし」などと投稿していたとのことです。