2024年05月03日

約1億1,700万円分の偽造チップを押収、対策が進むマカオカジノ

約1億1,700万円分の偽造チップを押収、対策が進むマカオカジノ

ざっくり言うと

  • マカオの司法警察局は、偽造された10,000香港ドルチップ585枚、約1億1,700万円相当を押収
  • ラスベガス・ストリップ地区のほとんどのカジノは、チップにRFIDタグを導入済み
  • 現在、マカオのカジノでは、RFIDタグチップの導入が急速に進んでいる

2024年5月2日、マカオの司法警察局は、偽造ゲーミングチップを使用してカジノから金銭を詐取しようとしたとして5人の中国人男性を逮捕し、約200万円(10,000香港ドル)の額面が記された偽造チップ585枚、約1億1,700万円(約585万香港ドル)相当を押収しました。

警察の発表によると、4月30日にコタイ地区のあるカジノで、客が現金への両替のためキャッシャーに持ち込んだチップが偽造だったことが判明し警察に通報が寄せられた。偽造チップは、それがどこのカジノのものかは公表されていませんが、肉眼では正規チップと見分けがつかないほど精巧なもので、これまでに少なくとも149枚がカジノで使用され、カジノ側の損失額は約3,600万円(180万香港ドル)に上るとのことです。

また、逮捕された犯行グループのうちの数人は容疑を認めているとのことです。マカオのカジノで偽造チップを使用し有罪になった場合、3年以上10年以下の懲役に加え、約330万円(15万人民元)の罰金が科せられます。

 


◆マカオで進む偽造チップ対策

ラスベガス・ストリップ地区のほとんどのカジノは、チップにRFIDタグ(無線自動識別タグ)を埋め込み、簡単に偽造チップを発見できるよう対策を講じています。一方で、マカオのカジノの多くは、まだ同様のチップを使用していません。しかし、偽造チップによる犯罪が多発したことで、RFIDタグを埋め込んだチップの導入が急速に進んでいます。

RFIDタグは、2000年代半ばウィンラスベガスでチップに小さな送信装置が埋め込まれて以来、カジノでは広く使われるものとなっています。当初は、チップの偽造防止にのみ使用されていたRFIDタグですが、現在では、カジノが顧客の勝敗やプレイ内容を知るためのツールにまで進化しています。

RFIDタグの仕組みを進化させた「スマートテーブル」では、チップの販売額、チップの換金額、フィル(チップが不足した際の補充額)、クレジット(回収したチップが多くなった際の保管額)など、テーブル上にあるすべてのチップをほぼリアルタイムで計算し、その結果をディーラーに伝え検証できるようになっています。従来、この作業は数時間おきにディーラーが行い、テーブルの収支や不正がないかを手作業で確認していました。

また、「スマートテーブル」によって、ピットボスやカジノマネージャーは、ライブゲームの状況をリアルタイムに把握し、テーブルごと、ピットごと、バカラテーブル全体など、必要に応じたレポートをすぐに入手できるようになっています。

さらに、最新のシステムでは、従来のRFID技術に映像分析技術を融合して、チップの動きに加えて、プレイヤーがどんなハンドや出目で勝ったのかまでを自動で識別し記録することができます

 


◆マカオでのスマートテーブルの導入状況

メルコ・リゾーツ社は、2月29日に行われた第4四半期決算説明会において、マカオの同社カジノで来月からスマートテーブルを導入すると発表しました。同社の主なマカオ事業は、コタイ地区のカジノリゾート「シティ・オブ・ドリームス」「スタジオ・シティ」、そしてタイパのカジノホテル「アルティラ・マカオ」。

ギャラクシー・エンターテイメント社は、2月28日に行われた電話会議において、すでにスマートテーブルの導入プロセスを開始しており、年内にすべて立ち上げる予定だと述べています。同社の主なマカオ事業は、コタイ地区の「ギャラクシー・マカオ」とダウンタウンの「スターワールドホテル」。

また、MGMチャイナ・ホールディングス社の「MGMマカオ」と「MGMコタイ」では、既にスマートテーブルが導入されています。

シティグループのアナリストによると、現状、マカオのゲームテーブルの10%がスマート化されていると推定しています。