2024年02月01日

空前の宝くじブーム、2023年売上は過去最高額の12兆円(中国)

空前の宝くじブーム、2023年売上は過去最高額の12兆円(中国)

ざっくり言うと

  • 中国宝くじの2023年の売上は、過去最高額となる5,796億9,600万元(約12兆円)
  • 売上増加の要因は、若者の宝くじ人気と経済不振
  • 当せん金には税金がかかるため、実効還元率は40~52%

2024年2月1日、中国財政省は、「彩票」(宝くじ)の2023年の売上が2018年の5,114億7,200万元を上回り、過去最高額となる5,796億9,600万元(約12兆円)に達した発表しました。前年比は36.5%増。日本の宝くじの売上が8,324億円であることを考えると、中国人がいかに宝くじに熱狂しているのかがわかります。

 

◆売上の詳細

中国の公営宝くじは、その収益がスポーツ振興に使われる「体育彩票(スポーツ宝くじ)」と福祉に使われる「福祉彩票(福祉宝くじ)」に大別されます。

くじの形式は、日本のサマージャンボや年末ジャンボのような宝くじではなく、「体育彩票」はサッカーやバスケットボールの勝敗や得点差を予想する日本のtotoに近い仕組み。また、「福祉彩票」は数字選択式やスクラッチ式など、さまざまなタイプがあります。

2023年の売上の内訳は、「福利彩票」が1,944億4,100万元(前年比31.3%増)、「体育彩票」が3,852億5,500万元(前年比39.3%増)となっています。くじの種別では、購入したその場で当たりが分かるスクラッチ方式が約2倍の売上となる1,190億2,100万元、数字を選ぶロト方式が1,768億300万元(13.8%増)、スポーツの試合結果を予想するtoto方式が2,464億7,600万元(36.2%増)。

 

◆「彩票」の概要

「彩票」は、文化大革命後の経済を立て直すため、1980年代の改革開放後に本格的に整備されました。1981年に中国農業銀行と中国人民銀行がそれぞれ5元、10元の「定期懸賞付き預金証明書」が発行され、これが「彩票」の前身とされています。そして、1987年、社会福祉事業の資金を確保するため、初の「彩票」となる「中国社会福祉懸賞付き募金券」が発行されました。1994年、スポーツ振興資金を確保するための「体育彩票」も発行されました。

「彩票」は、販売額の50~65%が当せん金、15%程度が経費、残りの20~35%が公益金として中央政府と地方政府が折半しています。また、日本の宝くじの当せん金は非課税ですが、「彩票」の当せん金には税金がかかるため実効還元率40~52%となっています。

 


(出典:総務省)


(出典:総務省)

 

「彩票」の当せん金額は、宝くじによって異なります。「福利彩票」のひとつ「双色球」(ロト)は、1口2元で当せん金には規則があり、おおよそ以下の金額となっています。

1等:500~1,000万元(約1~2億円)
2等:5~30万元(約100~600万円)
3等:3,000元(固定)(約6万円)

<2023年8月期の「双色球」の当せん金額>
※売上359,711,540元(約74億円)

1等:5,762,908元(約1億2,000万円):当せん確率1,772万の1
2等:74,564元(約1,500万円)
3等:3,000元(固定)(約6万円万

 


◆売上増加の要因は、若者の宝くじ人気と経済不振

多くの中国メディアは、宝くじを買う若者が増えていること報じています。また、売上の急増は、若者の高い失業率と関連があると推測されています。

16〜24歳の失業率は、6月に21.3%と過去最悪となり、中国政府は8月から失業率の公表を一時停止しています。若者の就職は厳しく、職に就いたとしても、自分の思い描いていたような高収入で将来性のある仕事であるとは限らず、国有企業または役所でない限り、将来は不透明だと考える若者は少なくないようです。

「景気が悪いとギャンブルが流行る」との噂もありますが、失業率が増加した時期と若者が宝くじを買い始めた時期は一致しており、一説には、輝かしい将来を描けなくなった若者が宝くじを買うことで厳しい現実から逃避しているのではと考えられています。

 

◆2024年の見通し

2024年は、4年に一度のサッカー欧州選手権が開催されるため、「体育彩票」の売上が大きく伸びることが予想されています。そして、一部の業界関係者は、2024年の宝くじ売上が6,000億元を突破するとの見方を示しています。

 

<2024年2月8日追記>
6日夜、国福彩双色球(第2024016期)の結果が発表され、貴州省の男性が中国宝くじ最高額となる約140億円(6億8,000万元)を獲得しました。中国福彩の公式サイトによると、今期の1等136本のうち134本が貴州省から出ており、そのうちの133本が同じ売り場だったとのことです。これまでの中国宝くじ最高当せん金は、双色球の約117億4,200万円(5億7,000万元)でしたが、今回その記録は破られました。双色球当せん金の1億元超えは今回で40回目。

 

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