2022年09月20日

3年で50ドルを4,000万ドルに増やしたアーチー・カラス

小ネタ
3年で50ドルを4,000万ドルに増やしたアーチー・カラス

ざっくり言うと

  • 3年で50ドルを4,000万ドル(57億円)まで増やしたアーチー・カラス
  • ただし、3週間で資産の全額を溶かす
  • 最後は、イカサマがばれて逮捕・カジノ出禁に

アーチー・カラス(Archie Karas)は、3年で50ドルを4,000万ドルに増やしたことで、カジノギャンブル史上最大かつ最長の連勝記録者と称賛される一方で、その年の終わりにはすべてを失ったことで「The Run」として語り継がれているギャンブラーです。

 

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◆生い立ち

カラスは、1950年、ギリシャのセファロニア島に生まれた。貧困の中で育ち、15歳の時に家出をして、客船のウェイターになります。その後、ロサンゼルスに移り住み、ビリヤード場の隣にあるレストランで働きます。

カラスは、ビリヤードの腕を磨き、ウェイターとしてよりも賭けビリヤードで稼ぐようになります。彼の腕前が知れわたりビリヤードで稼げなくなると、彼はロサンゼルスのポーカールームに入り浸ります。

そして、カラスは、無一文から億万長者に、億万長者から無一文にを何度も繰り返しながら、バンクロール(ポーカーの手持ち資金)200万ドル以上の敏腕ポーカー・プレーヤーに成長します。

1992年12月、カラスはハイステークス・ポーカーで残金50ドルまで負けたことをきっかけに、より大きなゲームを求めてラスベガスへ進出します。

 

◆伝説のはじまり

1992年12月、資金をすべて失ったカラスは、ミラージュに到着した後、偶然出会ったロサンゼルスのポーカー仲間から1万ドルを借り、$200/$400リミットのラズでプレイして3万ドルに増やし、その場で仲間に利息をつけて2万ドルを返済します。

ラズは、ポーカーの変形ゲームで、最悪のハンドを持った人が勝利となります。カラスは、最近の自分の運勢を振り返って、これが今の自分にとってピッタリなゲームだと考えたようです。

1万ドルを手に入れたカラスは、それを元手に賭けビリヤード(9ボール)で勝負を挑みます。1ゲーム5,000ドルのゲームから始め、時間とともに賭け金を上げていき、最終的に1ゲームの賭け金は4万ドルに。結局、カラスはビリヤードで120万ドルを手にします。ビリヤードで大負けしたギャンブラーは勝負をポーカーに変更しますが、カラスは更に300万ドルを巻き上げます。

 

◆栄枯盛衰

カラスは、ラスベガスに移ってからの3ヶ月間で、ギャンブル資金を700万ドルまで増やします。カラスの連勝を耳にして多くのトッププロのポーカープレイヤーがカラスに勝負を挑みます。そして、ワールドシリーズ・オブ・ポーカーで3回優勝経験のあるステュー・アンガーや、キャッシュゲームの最強プレイヤーとして名高いチップ・リーズなど、多くの強敵を倒し続けます。

カラスの資金は6ヶ月間で1,700万ドルを超えますが、カラスの人間離れした強さとあまりの賭け金の高さで、カラスに勝負を挑むポーカープレイヤーはいなくなります。その後も、カラスは、クラップスなどで順調に蓄えを増やし、連勝が終わる頃には4,000万ドル以上を獲得しました。カラスは、ある時、ビニオンズカジノの当時の最高額面である5,000ドルのチップを全て獲得するなどの伝説を残しています。

カラスの2年半の連勝は1995年に終わりを告げ、彼は3週間で資金のほとんどを失うことになります。カラスは、わずか48時間でクラップスに1,100万ドル、ポーカーに200万ドル、バカラに1,700万ドルと、合計3,000万ドル負けまくります。

カラスは約1,200万ドルを持っていったん母国のギリシャに戻りますが、再度ラスベガスに帰ってくると、1ベット30万ドルのバカラをプレイし、1ヶ月足らずで最後の100万ドルを残して資産を失います。そして、最後の100万ドルをポーカーで倍に増やすも、結局、クラップスとバカラに最高限度額を賭けて、わずか数日ですべてを溶かしてしまいます。
カラスは、わずか3週間で4,000万ドルのすべてを失いました。

2013年9月24日、カラスは、サンディエゴのカジノのブラックジャックでカードに印をつけるイカサマをして逮捕され、3年の保護観察処分と6,800ドルの罰金、さらに73日間の禁固刑を言い渡されます。カラスは、ネバダ州カジノのブラックリスト「ブラック・ブック」に名を連ねたことで、ラスベガスにあるすべてのカジノで一生涯プレイ禁止となっています。

 


The Days that Saw Archie Karas turn $50 into $40M(4分22秒)

 

◆さいごに

カラスは、ポーカー、ブラックジャック、バカラなど、日夜、ギャンブルの研究に取り組んでいたようです。そして、世界最高峰のポーカートーナメント「ワールド・シリーズ・オブ・ポーカー」に7回入賞するなど、一定の成績も残しています。

しかし、最後の3週間であり得ない負け方をしたこと、また、イカサマでカジノを出禁になったことで、彼の勝利が本当に実力だったのかを疑う声も出ています。

いずれにしても、50ドルを4,000万ドルまで増やした彼の手腕には感服です。

 

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