ざっくり言うと
- ラスベガスのスロットマシンは、すべて日本のパチスロの低設定レベルかそれ以下
- MEGABUCKSの最高当選額は、2003年の$39,710,826(約43億円)
- ジャックポットの当選確率は、約5,000万分の1でジャンボ宝くじ1等のさらに5分の1
スロットをする上で、もっとも重要な指標に「機械割(ペイアウト率)」があります。
「機械割」とは、理論上のどれだけ儲かるかを表す指標で、下記の計算式で算出されます。
機械割=総払出枚数÷総投入枚数×100
つまり、「機械割」が高ければ、理論上の勝てる可能性が高くなり、逆に低いと負ける可能性が高くなります。
例えば、日本のパチスロで、機械割97%の台を1日中(8,000回転と仮定)遊んだ場合、720枚の負けになることがわかります。
<総投入枚数>
8,000(回転)×3(1回転あたりの枚数)=24,000(枚)
<総払出枚数>
24,000(総投入枚数)×0.97(機械割)=23,280(枚)
<負け>
23,280(総払出枚数)-24,000(総投入枚数)=△720(枚)
720枚の負けは、お金に換算すると等価交換で14,400円相当となりますが、実際はここに「47枚貸し」などの交換率、「52枚交換」などの換金率が加わるため、負けの金額は更に大きくなります。
ちなみに、パチスロの機械割は、5号機の規定(長時間出玉率)では17,500ゲーム消化時に55%~120%に収まることが条件となっていますが、検定ではこの条件を満たすことのみを判断され、機械割の算定は10万回転ぐらいのシミュレーションで行われているそうです。
具体的には、日本のパチスロは、機種にもよりますが低設定では機械割95%程度、高設定では機械割120%程度です。
機械割を見ると、いずれも100%前後で一見良心的にすら思えますが、ホール関係者のコメントを聞くとほとんどが設定1か2となっているとのことです。また、設定1でも機械割は95%程度と、負けても数万円ぐらいと感じてしまいますが、実際には10万円以上負けることも少なくありません。
かなり前置きが長くなりましたが、いよいよカジノのスロットマシンの話です。
◆2種類のスロットマシン
カジノのスロットマシンは、大きく分けると「フラットトップ型」と「プログレッシブ型」の2種類があります。
「フラットトップ型」とは、フラットトップの「平らな頂点」という言葉のとおり、賞金額が決まっているもの。
「プログレッシブ型」とは、プログレッシブの「進行」という言葉のとおり、賞金額が増え続けていくもの。プレイヤーの投入する金額の数パーセントが積み立てられていき、ジャックポットに当選したたった1人がそれまでに積み立てられたすべての賞金を獲得する仕組みとなっています。
ラスベガスを代表する高額賞金のプログレッシブマシン「MEGABUCKS(メガバックス)」は、ジャックポットの賞金が1,000万ドル(約11億円)からスタートする、まさに一攫千金のスロットマシンです。
過去最高のジャックポット当選額は、2003年にエクスカリバーで出た「$39,710,826.36(1ドル=110円換算で約43億円)。機種は「MEGABUCKS」。
公表されている日本人のジャックポットは、2007年にプラネットハリウッドで出た「$581,670.11」(1ドル=110円換算で6,400万円)。機種は「Wheel of Fortune」。
ちなみに、原則、外国人は30%の税金が引かれるため、賞金から約18万ドルを引いた約40万ドルを受け取ることになります。
また、高額当選の場合、賞金を一括で受け取るか、分割で受け取るかを選択するのですが、一括では金利等が差し引かれて賞金は約半分になってしまうため、分割での受け取りが得策のようです。
◆カジノのスロットマシンのペイアウト率
まずは、「MEGABUCKS」のジャックポット当選確率は、約5,000万分の1とのことで、日本のジャンボ宝くじで1等が当たる確率の更に5分の1と、あまりにも狭き門となっています。
つぎに、カジノのスロットマシンの大前提として、各カジノごとの同一マシンの機械割はすべて同じ設定で、日本のパチスロのように出る台と出ない台といった設定差はつけられないルールとなっています。そのため、カジノ側ができることは、スロットマシンをメーカーに発注する際に、当局が定める範囲で機械割を指定することぐらいです。結果、各カジノごと、機種ごとに機械割が固定され、勝ちやすいカジノ、勝ちやすい機種が存在することになります。
では、具体的にラスベガスのスロットの機械割がどの程度に設定されているのかを見ていきます。
Payback ratio/odds for different types of slot machines in the Las Vegas area:
<全スロットマシン平均>
ストリップ地区:92.86%、ダウンタウン:93.65%、ラスベガス全体:94.03%
<1セントマシン>
ストリップ地区:88.36%、ダウンタウン:88.81%
<5セントマシン>
ストリップ地区:90.03%、ダウンタウン:91.18%
<25セントマシン>
ストリップ地区:91.64%、ダウンタウン:94.76%
<1ドルマシン>
ストリップ地区:93.62%、ダウンタウン:95.41%
<1ドル:メガバックス>
ストリップ地区:87.98%、ダウンタウン: 89.97%
<5ドルマシン>
ストリップ地区:95.11%、ダウンタウン:94.73%
<25ドルマシン>
ストリップ地区:96.60%、ダウンタウン:97.04%
また、こちらのサイトでは、各カジノこどの機械割のランキングが公表されていました。主要どころのカジノだけピックアップしています。すべてのランキングはリンク先を参照ください。
1位 Palms 93.42%
2位 Gold Coast 92.84%
3位 Sahara 92.81%
28位 Luxor 91.92%
29位 Paris 91.92%
57位 Monte Carlo 90.24%
60位 MGM Grand 89.81%
63位 Mirage 89.3%
64位 Caesars Palace 89.05%
69位 Bellagio 87.42%
71位 Airport 85.02%
この結果を見ると、ストリップ地区よりダウンタウンが、また、賭け金が小さいより大きい方ほど機械割が高くなっています。また、ラスベガスのスロットの平均機械割は94.03%と、日本のパチスロの機械割が100%前後であることを考えると、かなり分が悪いことがわかります。それにしても空港の85.02%はひどいですね。
最後に、ここまでラスベガスのスロットマシンを日本のパチスロと比較して論じてきましたが、基本的にこれらは別もので、ラスベガスのスロットマシンは、むしろ宝くじに近いものとなっています。
ジャックポットの夢を追うのもいいですが、スロットマシンはほどほどに遊ぶぐらいがよさそうですね。