ざっくり言うと
- 近代ギャンブルにおいて、吉田兼好の教えは最悪の打ち手
- ハウスエッジによって、賭けを繰り返せば繰り返すほど負ける可能性は高くなる
- 日本のパチスロは、マイナスのハウスエッジが存在する他に類を見ないギャンブル
『つれづれなるままに』でお馴染みの徒然草。
鎌倉時代末期(1330年とする説が主流)、吉田兼好によって書かれた日本三大随筆のひとつ。
今から約700年前に徒然草に記されたギャンブルの心得。
『双六(すごろく)の上手といひし人に、その手立(てだて)を問ひ侍りしかば、「勝たんと打つべか
らず。負けじと打つべきなり。いづれの手か疾く負けぬべきと案じて、その手を使はずして、一目なり
ともおそく負まくべき手につくべし」といふ。道を知れる教(おし)へ、身を治め、国を保たん道も、またしかなり。』(徒然草 第百十段)
※当時の双六は、二人で対局し、それぞれ黒と白の12個の駒を2個のサイコロの出目で進めていき、すべての駒が敵陣に入ったら勝ちとなるゲーム(ギャンブル)。
<現代語訳>
双六の上手といわれた人に、勝つ方法をたずねたところ、「勝とうと思って打つな。負けないよう打
とうと思って打つがいい。どんな手を打ったら早く負けるかをよくよく考え、そういう手は打たずに、
一目でもおそく負ける手を選ぶことだ」と言う。
その道をよく知る人の教えである。身を治めるのも、国を保つ道も、これと同じだ。
(出典:すらすら読める徒然草)
◆近代ギャンブルにおいて、兼好の教えは最悪の打ち手
競馬にしろカジノゲームにしろ、そこにハウスエッジ(胴元の取り分)がある以上、賭けを繰り返せば繰り返すほど、ギャンブラーが負ける可能性は高くなっていきます。
軍資金が半分になる回数を示す「逆72の法則」で計算すれば、ハウスエッジ5%のゲームをプレイした場合、「72÷5=14.4」で14回プレイした時に軍資金が半分になります。
「72 ÷ ハウスエッジ(胴元の取り分)=軍資金が半分になる期間(賭ける回数)」
ハウスエッジが2.7%のヨーロピアンタイプのルーレットの場合、「72÷2.7=26.7」となりで26回プレイした時に軍資金が半分になります。
また、リスクを分散するために1回ごとの資金を細分化することは、まったくリスク分散になっておらず、むしろ負けをより確実にする行為です。
◆日本のパチスロは、マイナスのハウスエッジが存在する他に類を見ないギャンブル
パチスロの高設定の台は、ハウスエッジがマイナス(=機械割がプラス)となっており、理論上やればやるほどメダルが増えていきます。そのため、パチスロは、運任せのジャックポットを狙う以上に、いかに高設定の台を見つけるかのギャンブルとなります。
言わずもがなですが、カジノのスロットマシンの機械割(ペイアウト率)は、80%後半~90%後半となっており、高いハウスエッジが設けられています。
先日、パチンコ業界メディアのグリーンべるとに面白い記事が掲載されていました。
ジャグラーなどパチスロAタイプの「設定」投入の考え方とは!?
「どの台に高設定を投入すべきなのかを考えてみます。稼働アップを図るためには、日々の設定投入の場所が重要になります。稼働が悪い日は、前日データからお客様が狙って遊技しそうな台に優先的に高設定を投入していくのがセオリーになります。稼働が悪いのに、遊技客が敬遠する前日データの台に高設定を投入しても、その高設定台は稼働せずに埋もれてしまいます。反対に稼働が良い日は、前日データからお客様が敬遠しそうな台に優先的に高設定を投入します。高稼働日は、敬遠される台に高設定を投入しても最終的には誰かが発見して打ち込んでくれる可能性が高いからです。また、敬遠される台に高設定を投入することで、後から来店したお客様でも高設定を掴むことができるなど、どこにでも、いつからでもチャンスがあるホールという好印象を与えることもできます。」(グリーンべるとより)
つまり、ホールの設定担当者が潜ませた高設定の台を、その気持ちを読んでいかに見つけ出すかがパチスロの醍醐味といえます。
◆さいごに
最近のホールは、爆裂5号機撤去され、とうとう安定の6号機が主流となってしまいました。
出玉に物足りなさはあるものの、設定が読みやすいのも6号機の特徴です。
ホールが高設定の台を入れてくれさえすれば、6号機でもそれなりの楽しみ方はあるのですが、そもそもの高設定の台がないことには遊びようもありません。
ということで、本当にガセイベントは勘弁していただきたいです。
※サムネイル画像はサントリー美術館より