ざっくり言うと
- オンラインカジノはあまりにも簡単に利用できる
- オンラインカジノは中毒性が高い
- オンラインカジノは不正が横行している
- 国内においては消費者保護がない
2024年11月17日、インターネットは、知識やエンターテインメントを誰でも簡単に手に入れられるようにし、情報革命に大きく寄与しました。それは、ギャンブルにおいても例外ではありません。オンラインカジノは、1990年代前半に登場して以来、多くのギャンブラーを魅了してきました。それが合法か非合法かはまた別の話です。
デジタル分析会社のシミラーウェブジャパンの調査によると、オンラインカジノへの日本からのアクセス数は2018年12月月間約70万回だったものが、2021年9月には約8,300万回と約120倍に急増しており、多くのギャンブラーがオンラインカジノに資産を奪われている様子が目に浮かびます。
今回は、オフラインカジノと比較することで、オンラインカジノ危険性について考察します。
◆オンラインカジノはあまりにも簡単に利用できる
アメリカには1,000店舗以上の実店舗カジノがあります。一方でアメリカで認可されているオンラインカジノは30サイト程度ですが、アメリカ人をターゲットにしている違法なオンラインカジノは3,000サイトを超えると言われています。オンラインカジノは、ネット環境さえあれば、いつでも、どこからでも、あまりにも簡単に利用できます。
◆オンラインカジノは中毒性が高い
オンラインゲームは、楽しく、テンポよく、かなり安価に遊ぶことができます。そのため、簡単にはまってしまい、不合理な量のゲームをプレイし、大金を費やしてしまうことがあります。ほとんどのオンラインカジノが入会特典やボーナスポイントを用意し、新規客を募っています。いったんオンラインカジノに登録してしまうと、あとはなし崩しに課金の道をたどることになります。オンラインカジノは、「スマホで24時間いつでもできる」「短時間で勝負できる」「クレジットカードや電子マネーで賭けることができる」 といった特徴があります。そのため、気付けばあっという間に多額の借金を作ってしまう危険性があります。負けを取り戻そうとしてどんどんのめり込んでやめられなくなるというのは、ギャンブルではよく聞く話ですが、手軽にできるからこそ、そのリスクもより高いといえます。
◆オンラインカジノは不正が横行している
オンラインカジノ事業者は、ライセンスを取得しているから不正はないと主張しますが、プレイヤーがその実態を知るすべはありません。そもそもカジノが公正に運営されているかも検証ができず、中には日本人をターゲットにした詐欺を働いているサイトもあります。素性のわからない外国人にお金を預けて画面上の数字の増減に一喜一憂することは、相応のリスクを伴うと考えるべきです。
2024年6月29日、NHKで放送されたNHKスペシャル「調査報道 新世紀 File4 オンラインカジノ 底知れぬ闇」がオンラインカジノの裏側を暴露しました。本番組では、オンラインカジノの拠点マルタ共和国に取材を敢行し、関係者から生の声を聴取しています。
番組の中で、あるオンラインカジノの元社員は、「正直言って、規制のない市場で(イカサマを)しないはずないでしょう」と証言しています。
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◆国内においては消費者保護がない
オンラインカジノが危険な理由は、消費者保護がないことです。何かトラブルがあっても相手は海外ですから、返金の請求など責任の追及は容易ではありません。また、民法708条は、「不法な原因のために給付をした者は、その給付したものの返還を請求することができない」と定めています。「不法」とは公序良俗に反することを意味し、「給付」とは相手方に終局的な利益を与えることをいいます。この条文は「法は、不法をなすものには手を貸さない」(クリーンハンズの原則)という民法の原則を表明していると解釈されています。例えば、「ヤミ金行為のために顧客に金銭を貸し付けたヤミ金業者は、その元本の返還を請求することはできない」ということです。おそらく日本の裁判所に訴えを起こしても、オンラインカジノは日本では違法な賭博として扱われるため、賭博に関連する債権の請求は、不法原因給付として認められない可能性が高いと考えられます。
◆そもそもオンラインカジノは違法
オンラインカジノは、海外で合法とされているものでも日本国内から接続して金をかければ賭博罪などに問われるとして警察庁や消費者庁などが注意喚起しています。
2022年10月24日、警察庁は、オンラインカジノに関する広報啓発用ポスターを公開しました。このポスターでは、「日本国内ではオンラインカジノに接続して賭博を行うことは犯罪です!」と明言し、「知らなかったでは済まされません!」と警告しています。
そして、日本の法律では、賭博罪は50万円以下の罰金または科料、常習賭博罪は3年以下の懲役と定められています。