ざっくり言うと
- 「規制のない市場で(イカサマを)しないはずないでしょう」(関係者談)
- ルーレットの数字も狙えれば、バカラのカードも自由自在
- 警察が本腰を入れたことで、オンラインカジノの逮捕リスクが向上
2024年9月8日、オンランカジノは合法、適切なライセンスを取っているから安全、イカサマはないなどの誘い文句が並ぶオンラインカジノの広告。今回は、最近のニュースからオンラインカジノの危険性について考察します。
そもそも論として、日本国内ではオンラインカジノに接続して賭博を行うことは違法です。
一方で、デジタル分析会社のシミラーウェブジャパンの調査によると、オンラインカジノへの日本からのアクセス数は2018年12月月間約70万回だったものが、2021年9月には約8,300万回と約120倍に急増しており、多くのギャンブラーがオンラインカジノに資産を奪われている様子が目に浮かびます。
◆イカサマの噂が絶えないオンラインカジノ
2024年6月29日放送のNHKスペシャル「調査報道 新世紀 File4 オンラインカジノ 底知れぬ闇」は、マルタ共和国に取材を敢行し、オンラインカジノの裏側を暴露しています。そこでは、現地オンラインカジノ関係者が衝撃の告白をしています。
「正直言って、規制のない市場で(イカサマを)しないはずないでしょう」
カジノにイカサマが存在することは、法律の場で明らかになっています。それもオンラインカジノとは比較にならないほど規制・監督・監視が厳しいランドカジノ(施設カジノ)での話です。
ルーレットで特定の数字を狙うイカサマ、ディーラーと客に実刑判決
世界でも有数のトップカジノ マリーナベイ・サンズのディーラーが特定の数字を狙った罪で実刑判決を受けました。
韓国大邱のカジノ、イカサマバカラで4億円ボッタくり
韓国大邱のカジノで、バカラをプレイした中国人2人から4億5,000万円、日本人から540万円をだまし取った疑いで従業員12人が刑事起訴されました。
ランドカジノでもこの有様です。となると、前述のオンラインカジノ関係者の話も納得です。
◆オンラインカジノの逮捕リスクが向上
海外で合法的に運営されているオンラインカジノは、日本の法律では摘発できないのが実情です。そこで、警察は、日本の法律で摘発できる国内の決済代行業者にターゲットを絞って、海外オンラインカジノの撲滅に本格的に乗り出したようです。
5万人から640億円集めたオンラインカジノ決済代行業者を摘発
決済代行業者が摘発されれば、一蓮托生、そこを利用している客も逮捕される可能性があります。これまでのように、オンラインカジノは日本の警察には手が出せないと安易に考えるのは危険です。
<9月12日追記>
大阪府警保安課は、海外オンラインカジノ「YOUS CASINO」の賭け金を決済を代行したとして「アシストペイ」社長の韓容疑者ほか、木下容疑者、三反田容疑者の男女3人を組織犯罪処罰法違反(犯罪収益等隠匿)容疑で逮捕したと発表しました。
逮捕容疑は、2022年3月から23年6月までの間、延べ約1万人から「YOUS CASINO」の賭け金約49億8,000万円を集金。この現金を容疑者らの会社と「YOUS CASINO」業者との間での正式な業務取引の費用であるかのように装い、犯罪収益だと分からなくしたとされています。
大阪府警は、賭け金約49億8,000万円のうち約29億円はゲームで勝った客に振り込まれ、差額の約20億円が運営元に渡っていたことを確認。3容疑者には資金洗浄の見返りとして約1億5,000万円が支払われていたとみています。また、カジノの運営にも海外在住の別の日本人が関わっていたとみて捜査を続けています。
今回の事件で最も興味深いのは、オンラインカジノの経営実態が明かされたことです。
2004年~2023年9月までのネバダ州カジノでのスロットマシンのホールド率(客が購入したチップをカジノが取り戻した比率)は、年平均で6.43%です。
今回の事件で、50億円が入金され20億円がカジノ側の懐に入ったのであれば、ホールド率は驚愕の40%。オンランカジノ内に客のクレジットが多少残っていたとしても、このホールド率はネバダ州カジノのスロットマシンの約6倍です。
「YOUS CASINO」は95~97%のRTP(リアルタイムペイアウト率)を謳っていますが、これでは今回のお金の流れを説明することはできません。今後の捜査ですべてが明らかになることを期待します。
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<9月12日追記>
埼玉県警は、オンラインカジノの「ベラジョンカジノ」と広告収入の契約を結び、ユーチューブで「ベラジョンカジノ」の宣伝を行い、賭博を手助けしたとして、大阪市在住の伊達智美容疑者(34)を常習賭博幇助の疑いで逮捕しました。オンラインカジノの運営とアフィリエイト契約を結び、オンラインカジノに勧誘した疑いで逮捕者が出るケースは全国で初。契約の内容は、紹介客の負け額の30%バック、動画投稿1本7万円。
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<10月10日追記>
宮城県警は、仙台市内の34歳の男性をオンラインカジノで賭博をした罪で仙台地検に書類送検しました。
宮城県警によると、男性は、今年4月 自分のスマホから海外のオンラインカジノにアクセスし、バカラ賭博に800回以上にわたり合わせて300万円ほど賭けたとみられています。県警が、他の事件についての捜査で男性のスマホを調べていたところ、オンラインカジノを利用していたことが発覚。男性は「違法だとわかっていたが、やってしまった」と容疑を認めています。
オンラインカジノを利用した賭博事件での検挙は東北で初めて。