ざっくり言うと
- メリーランド州のふたつのカジノから100万ドル以上をだまし取ったイカサマ師
- バカラで21ゲーム中に18回も勝ちを的中させ、その中には14連勝も含まれる
- 勝率50%のゲームで14連勝する確率は0.006104%
FBIのリリースによると、2018年9月にメリーランド州のふたつのカジノから100万ドル以上をだまし取ったとして起訴されたイカサマ師のChenguang Niと共犯のディーラーMing Zhangは、2019年12月、ついに両氏が犯罪を認め判決を受けました。
イカサマ師のNi氏には連邦刑務所での18ヶ月の懲役、ディーラーのZhang 氏にも13ヶ月の懲役、加えて両者にはカジノが被った1,046,560ドルの損失の全額返済が命じられています。しかしながら、Zhang氏はこの判決を不服として控訴しています。
◆ことの顛末
2017年9月、Ni氏は、メリーランド州のカジノでバカラを数時間プレイし、850,000ドル以上を獲得しました。
バカラは、いわゆる丁半博打で、PLAYERが勝つかBANKERが勝つかを当てる二択のゲームです。引き分けを除けば勝率はほぼ50パーセントなのですが、Ni氏の勝ち方は、あまりにもあからさまで、21ゲーム中に18回も勝ちを的中させ、その中には14連勝も含まれていました。勝率50%のゲームで14連勝する確率は0.006104%です。
現実では起こりえない確率のため、カジノはそこで何らかの不正があったことを察知し、翌日、FBIに通報しましたが、そこで何が行われたのかは分かっていませんでした。
FBIは、後の捜査でZhang氏 が働いていたメリーランド州の別のカジノでも、同じ手口で200,000ドルを騙し取っていたことも明らかにしています。
FBI の報告によると、被害を受けたカジノのひとつはMGMナショナルハーバーとのことです。
◆明かされたイカサマの手口
ディーラーのZhang氏は、最初に関与を否定していましたが、最終的には共犯を認めたことで、イカサマの手口が明らかになりました。
ディーラーがカードをシャッフルするとき、ディーラーはカードに不正がないことを明らかにするために、まずカードを扇型に広げてプレイヤーに明示します。
その後、ディーラーは、カードをシャッフルするのですが、Zhang氏はすべてのカードをシャッフルせず、こっそりシャッフルしないカードの束を脇に寄せて残していたとのことです。
カードが明示されている隙に、Ni氏は自分の携帯電話でカードの写真を撮り、トイレに立ってそこで写真を確認し、シャッフルされていないカードの束でプレイヤーとバンカーのどちらが勝つのかを覚えテーブルに戻っていました。
そして、Ni氏は、シャッフルされていないカードの束が来るまでは小さく賭け、シャッフルされていないカードの束が来ると大きく賭けて大勝ちを連発していたとのことです。
◆さいごに
どんな高度なイカサマが行われたのかと思えば、あまりにも単純な手口で驚きました。単純すぎるがゆえに分からなかったということは、14連勝もせず5連勝ぐらいにとどめておけば、ばれなかったかもしれません。