ざっくり言うと
- 海外競馬のオッズは、国内競馬ファンによってブックメーカーのオッズから大きく乖離
- スルーセブンシーズ単勝10,000円は、JRA40,000円、ブックメーカー110,000円
- コンティニュアス単勝10,000円は、JRA168,000円、ブックメーカー90,000円
海外競馬に内国産馬が参戦し、JRAがその馬券を販売するレースでのJRAのオッズは、内国産馬びいきの多くの国内競馬ファンによって、世界のブックメーカーのオッズから大きくかけ離れることがあります。
2023年10月1日、世界最高峰のレース「凱旋門賞」(仏パリロンシャン・芝2400メートル)が行われます。
日本からは、スルーセブンシーズが単騎参戦。重賞実績は中山牝馬Sの1勝のみだが、宝塚記念で現役世界ナンバー1のイクイノックスに迫った走りは記憶に新しい。そして、9月16日に2910mの英セントレジャーを勝った日本産馬のコンティニュアスも注目です。
海外勢では、5戦無敗の仏ダービー馬エースインパクト、重賞8勝を挙げているフクム、英サンクルー大賞馬ウエストオーバー、仏パリ大賞馬フィードザフレーム、独ダービー馬ファンタスティックムーンなど、強豪がそろっています。
今年の凱旋門賞のオッズ(1日12時時点)は、
スルーセブンシーズの単勝に10,000円を賭けて当たった場合、JRAで買っていれば40,000円にしかなりませんが、イギリスの大手ブックメーカーのウィリアムヒルで買っていれば110,000円になります。
つまり、同じスルーセブンシーズの馬券を買うにしても、買う場所によって大きく利益が異なります。
逆に、コンティニュアスの単勝に10,000円を賭けて当たった場合、ウィリアムヒルで買っていれば90,000円にしかなりませんが、JRAで買っていれば168,000円になります。
※ブックメーカーは馬券購入時のオッズが、JRAは発走直前の最終オッズが適応されます。
ファンタスティックムーン 8.3倍
<レース当日のJRAとウイリアムヒルのオッズ比較>
●のマーカー:JRA
▲のマーカー:ウイリアムヒル
◆裁定取引で稼ぐ数少ないチャンス
裁定取引(アービトラージ)とは、同一の価値を持つ商品の一時的な価格差(歪み)が生じた際に、割高なほうを売り、割安なほうを買い、その後、両者の価格差が縮小した時点でそれぞれの反対売買を行うことで利益を獲得しようとする金融取引のことです。俗にさや取り(鞘取り)とも呼ばれます。
この理屈をスポーツベッティングに当てはめたものが、ブックメーカーアービトラージ(スポーツアービトラージ、シュアベット)です。
例えば、武尊と那須川天心のドリームマッチが実現し、下記のオッズになったとします。
ブックメーカーA:武尊[1.5] VS. 天心[3.0]
ブックメーカーB:武尊[1.3] VS. 天心[3.5]
この時、ブックメーカーAで武尊1.5倍に70,000円、ブックメーカーBで天心3.5倍に30,000円を賭けた場合、武尊が勝っても天心が勝っても105,000円が入ってきます。総賭け金は100,000円なので、試合結果に関わらずノーリスクで5,000円の利益を上げることができます。
このように、ブックメーカー各社のオッズに差が生じて払戻率100%オーバー状態を見つけ出すことで、試合結果に関わらず利ざやを抜くことをブックメーカーアービトラージといいます。また、ブックメーカーは賭けた時点の倍率で払戻しとなるため、賭けた時点で利益が確定します。
ただし、ほとんどのブックメーカーで、オッズが他とかけ離れることのないようシステム的な対策が講じられており、また、規約でアービトラージそのものを禁止しているブックメーカーも少なくありません。
一方で、海外競馬に内国産馬が参戦し、JRAがその馬券を販売するレースでのJRAのオッズは、内国産馬びいきの多くの国内競馬ファンによって、世界のブックメーカーのオッズから大きくかけ離れることがあります。これはアービトラージの絶好のチャンスとなります。
◆さいごに
スルーセブンシーズに大きく賭けるなら、JRA経由で馬券は買わず、フランスのパリロンシャン競馬場まで行って、現地で賭ける方がはるかに夢がありますね。
<レース結果>
1着 エースインパクト
2着 ウエストオーバー
3着 オネスト
4着 スルーセブンシーズ
今年の凱旋門賞は、JRAとブックメーカーでオッズに乖離のない2頭で決着したため、アービトラージのうま味のないレースとなりました。